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ほくろ Mole

黒子(ほくろ)とは WHAT IS A MOLE?

黒子(ほくろ)は、母斑細胞からなる良性腫瘍で、医学用語では色素性母斑といいます。平坦なものから盛り上がったもの、黒いものから茶色(褐色)のものまであり、大きさもさまざまです。生まれつきあるものもあとで出現するものもあり、全身にひろがっている場合には、巨大色素性母斑と呼ばれます。

ほくろの治療、適応

手術による切除治療やレーザーによる焼灼治療が一般的によく行われます。手術による切除治療の場合には保険適用となり、病理検査も可能となりますが、線状の傷あとが残ります。また、通常は手術前に採血検査を行い、手術枠を確保してからの治療となるためすぐに治療することはできません。

レーザー治療は自費診療となりますが、手術のように術前の採血検査等は必要とせず、すぐに治療することが可能です。病理検査をすることはできないため、悪性の可能性が疑われるなど検査の必要がある場合にはレーザー治療は推奨されず、適応については医師の判断が必要になります。

当院での治療の特徴

慶應義塾大学病院ではほくろ・巨大色素性母斑の専門外来を有しており、難治性のほくろをもつ患者さんが全国から集まります。治療のみならず、ほくろ治療の研究も行っており、施術後の経過も含めて適切な治療法を提案いたします。

Flow 治療の流れ

  1. 01 治療前

    医師の診察を受け、治療部位を決定します。

    細い針を用いた注射、もしくは外用薬による局所麻酔を行います。注射による局所麻酔では、注射の直後に治療を行います。外用薬による局所麻酔では、麻酔薬を塗布した後に患部をフィルムなどで密封し、30分から60分ほど待ってから治療を行います。

    まぶたなど目に近い場合は、医療用のコンタクトレンズで眼球を保護します。

  2. 02 治療手技

    炭酸ガスレーザーは水分に吸収されやすく、患部に照射すると細胞に含まれる水分がレーザーのエネルギーを吸収し、蒸散作用を起こして瞬間的に組織を除去します。

    周辺の細い血管は熱凝固作用で一瞬のうちに固まりますので、出血はほとんどありません。

    照射時間の目安は1か所につき約5分ほどです。範囲や疾患の種類によって、もっと短い所要時間で済む場合、あるいは長くなる場合があります。

  3. 03 治療後

    レーザーで処置した部位

    処置した部位は浅い傷になっています。ほくろの除去後は、母斑細胞が存在する深さに応じた傷となります。軟膏を塗り、滅菌ガーゼで患部を保護します。

    傷の大きさや位置に応じて、創傷被覆材を用いる場合もあります。ご自宅では1日2回、ガーゼを除去し、シャワー時に患部も流水で洗い流してください。清潔なタオルで患部の水分をとり、処方された軟膏を塗って、ガーゼで保護してください。

    レーザーでの治療から1〜2週間、この処置を続けてください。もしくは、創傷被覆材を数日に1回交換し、交換時に患部を流水で洗い流してください。ガーゼもしくは創傷被覆材による保護の期間については、治療の範囲や経過によって長期間におよぶ場合があります。

    通常の入浴は照射当日から構いません。入浴後は上記の処置を行ってください。

    スポーツ、プール、温泉、サウナ、飲酒は傷が治癒する1〜2週間は避けてください。

    初回のレーザー治療の際は、2週間後に再受診していただきます。ただし、治療部位に異常を感じた場合、例えば強い痛みを感じた場合、じくじくするなど膿が出てきた場合は、予約日を待たず、お電話で形成外科外来にご連絡ください。

    傷が完全に埋まった時点(治療後1〜2週間)で、患部は赤みを帯びた状態になっています。この時点からガーゼをとり照射部位のお化粧などは可能ですが、紫外線やこする刺激に対して敏感な状態は続いています。

    洗顔時にこすらない、シートタイプの化粧落としは使用しない、日焼け止めをこまめに塗り無防備に日光に当たらない、過剰な日焼けを避ける、などのことを治療後3か月は心掛けてください。

    治療後約1~3か月かけて傷あとの赤みは徐々にとれてきます。傷あとの大きさや体質によっては赤みが長引く場合があります。ご希望に応じて、傷あとの経過観察のため再受診していただけます。

Side effects / Risks 副作用・リスク

避けられない合併症その他の不利益

本治療を受けた場合、次のような合併症やその他の不利益が生じることがあります。このことは、本治療に伴う避けられないものです。この点を考慮したうえで本治療を受けるか否かを決定してください。

  • 局所麻酔(注射)に伴う
    合併症

    稀に局所麻酔に対するアレルギー(例えばショック、血圧低下、じんましん、呼吸困難、口唇や舌のしびれ感、めまい、ふらつき、頭痛、視覚・聴覚異常、痙攣など)が出現する場合があります。血管を避けて注射をしますが、それでも注射手技による皮下出血が生じる場合があります。

  • 局所麻酔(外用薬)に
    伴う合併症

    10%程度の方に外用した箇所に赤みが生じることがあります。通常、無治療で軽快しますが、ステロイド外用薬による治療が必要な場合もあります。稀に局所麻酔に対するアレルギー(例えばショック、血圧低下、じんましん、呼吸困難、口唇や舌のしびれ感、めまい、ふらつき、頭痛、視覚・聴覚異常、痙攣など)が出現する場合があります。

  • 治療に伴う合併症

    1. 1. 瘢痕(傷あと)

      治療を受ける方の体質によっては治療部位の傷あとがケロイド状になり、盛り上がった赤いしこりになる場合があります。また、にきび跡のような凹んだ傷あとが残る場合があります。

      盛り上がった傷あとについては外用薬や注射薬による治療が必要になる場合もあります。凹んだ傷あとにはフラクショナルレーザーが有効となる場合があります。

    2. 2. 治療部の質感の違い

      治療が上手くいき、傷あとが平坦化したとしても、周辺の皮膚との質感が完全に同じになるわけではありません。この質感の違いは程度の差はありますが、全例に生じます。

    3. 3. レーザー後の炎症に
      よる赤み・色素沈着

      前述の通り、傷が完全に埋まった時点(治療後1〜2週間)で、患部は赤みを帯びた状態になっています。この赤みは平均3か月で消失しますが、約10%の方では半年から1年程度かかる場合もあります。赤みが強い期間は外的な刺激、紫外線に弱いため、こすらないこと、遮光を徹底してください。

      赤みが消失した後、色素沈着が生じる場合もあります。色素沈着は平均3か月で消失しますが、6か月程度かかる場合もあります。色素沈着については外用薬による治療が必要になる場合があります。

    4. 4. 色素脱失
      (色が抜けすぎる)

      約5%の方で、治療した部位の皮膚にメラニン色素が回復せず、色素脱失を生じる場合があります。色素脱失は自然に軽快せず、治療が必要になる場合があります。

    5. 5. 傷の細菌感染

      治療を行う部位には消毒をして感染を予防します。またガーゼや創傷被覆材の交換の際には傷に付着する汚れを流水で洗い流していただきます。しかし、これらのような十分な予防策をとっても、1%に満たない頻度で治療部位の細菌感染が生じる場合があります。

      感染が生じた場合は抗生物質の投与により対処します。感染が生じると、上記の赤み、色素沈着、色素脱失が生じる可能性が高くなります。

    6. 6. 外用薬やテープによるかぶれ(接触皮膚炎)

      治療を受ける方の体質によっては、1%程度の頻度で治療後に用いられる外用薬、ガーゼを固定するテープ、創傷被覆材のシールなどに対して皮膚がかぶれる場合があります。通常、無治療で軽快しますが、ステロイド外用薬による治療が必要な場合があります。

    7. 以上、考えうる合併症について説明しましたが、稀に予期せぬ事態が発生することもあります。なお、上記の合併症その他の不利益が発生したときは、当院において適切な処置を行います。当該処置は通常の保険診療であり、治療費は患者さんのご負担となります。あらかじめご了承ください。

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