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脊椎・脊髄疾患 Spinal cord disorder

脊髄疾患後の運動障害(歩行・上肢機能・運動麻痺)に対する先進的な治療プログラム

メッセージ Message

 これまで脊髄損傷をはじめとした中枢神経損傷に起因する運動障害は、ある一定の期間を過ぎると回復しないというのが定説でした。近年、さまざまな先進機器を用いた治療手段が開発され、慢性期以降でも歩行・バランス機能や上肢の運動機能がある程度改善し得ることがわかってきました。私たちは脊髄再生治療に付随する適正なリハビリテーションとして、脳と筋肉をつなぐ神経回路を強化した上で行う運動療法の重要性に着目しています。

 脊髄疾患患者を対象とした下肢・歩行特化コースでは、磁気刺激により脳内の神経活動を賦活化させ、運動・感覚のネットワークを強化・調整することが期待されたロボットスーツHAL®による歩行練習をベースとしたトレーニングを提供します。

 上肢の治療では、Brain Machine Interfaceや手指ロボットMELTzなどの手の動きに特化した先進機器の活用や、機能的電気刺激を用いて活動を強めたい筋への刺激を行い、適切な難易度の運動練習を反復できる環境を提供します。社会で生活されている患者さんの機能回復を追求し、豊かな日常生活を支援することを目指します。

Target 対象患者

脊椎・脊髄疾患(外傷性・非外傷性)による運動・感覚機能障害を有する方が対象となります
特に、以下のような症状やご希望をお持ちの方を対象としています。

  • 四肢に麻痺があり、十分に動かすことができない方
  • 残存している機能を最大限に活かして鍛えたい方
  • 現在の身体機能をしっかりと維持し続けたい、最大限に鍛えたい方

以下に該当する場合は、継続的な利用が困難な可能性があります。

  • 全身の健康状態が不良な方(著しい栄養不良、重度の心疾患、易疲労、著しい起立性低血圧など)
  • 1時間程度の治療に継続して取り組むことが難しい方
  • 高次脳機能障害や認知機能障害などにより、スタッフとのコミュニケーションが難しい方
    (症状が軽度の場合はその限りではありません)

下肢・歩行特化コースの場合

  • HAL®使用のためには、身長150〜190cm、体重40〜100kgの範囲が目安となります。
    当てはまらない場合は、実施が難しい可能性があります。
  • 下肢の機能訓練及びHAL®の装着を著しく阻害するような関節の可動域制限、痛み、しびれがある方
  • 身体に金属を留置している方
    (心臓ペースメーカー、深部脳刺激療法:DBS、人工内耳など)

上記に限らず、医師・療法士により、その他の理由で利用が困難と判断する場合があります。

Treatment methods 治療法の紹介

※機器ごとに個別の適用条件があります。
どの機器を治療に用いるかは、対象者の身体の状態に基づき、医師と療法士により決定されます。
※治療効果には個人差がございます。

下肢・歩行特化コース

治療内容の紹介

下肢の神経活動を活性化させる経頭蓋磁気刺激と、下肢のわずかな神経活動を読み取り動作の補助を行うロボットスーツHAL®を用いた歩行練習をベースとした、機能的なトレーニングを実施して頂きます。 動画で見る

  • 下肢支配領域への
    経頭蓋磁気刺激
  • ©CYBERDYNE INC.HAL®を用いた歩行練習

HAL®はあくまで歩行の補助ロボットなので、機能が高まってきた方にはHAL®を外してより負荷をかけたさまざまな課題指向型のトレーニングも組み合わせて実施します。
トレーニング内容については随時ご相談の上で進めさせていただきます。当センターでは、保険を利用したリハビリテーションを受けられる期間が終了した方でも利用することが可能です(自費診療)。

Flow トレーニング当日の流れ一例

  1. 事前に横開き可能なズボンに着替えて頂く

    HAL®使用のための電極シールを殿部・大腿部に貼付するため)
    ※ズボンの下にはくるぶしまでの長さのスパッツやタイツを履かないようにお願いします。

  2. 当日の健康状態の確認

  3. HAL®使用のための電極シール貼付・準備運動(ストレッチなど)

  4. 経頭蓋磁気刺激

  5. HAL®を装着した歩行トレーニングや課題指向型トレーニング

  6. クールダウン(ストレッチなど)・振り返り・次回予約

エビデンス

詳しくはこちら

上肢コース

  • brain machine interface BMI

    BMI(brain machine interface)は、指を伸ばす運動のイメージを行っているときの脳波を記録し、適切な脳波の変化が生じたときに装具による指の伸展と筋肉への電気刺激をフィードバックする治療方法です。
    脳と筋肉の神経的な結合の強化を図ることができます。

    動画で見る
  • MELTz メルツ

    MELTzは、手指の動きをアシストするロボットです。電極から筋肉の活動を計測し、AIが活動パターンを解析すること動作練習を高頻度で反復的かつ効果的に行うことができます。

  • Extracorporeal shock wave 体外衝撃波

    体外衝撃波治療(ESWT)は、圧縮した空気によって発生させた衝撃波を皮膚表面から照射することで、筋肉や軟部組織にアプローチする治療法です。
    衝撃波の刺激によって血流の促進や筋緊張の緩和、痛みの軽減などが期待されます。

  • functional electrical stimulation 機能的電気刺激

    機能的電気刺激は、電極から筋肉の活動を計測し、電気の刺激により筋肉の動きをアシストする手法です。手や足を刺激することで動かしやすい環境を作り、動作練習や日常生活動作練習を反復的かつ効果的に行うことができます。

Staff スタッフ紹介

整形外科学教室

  • 澤田 智紀

  • 大川原 洋樹

リハビリテーション医学教室

  • 道願 正歩

  • 奥山 航平

  • 守屋 耕平

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